小学校受験を考えるご家庭の間では、さまざまな“都市伝説”のような噂が飛び交います。
その中でもよく耳にするのが、
「年長でテーマパークに行くと落ちる」
という、なんとも極端な言い回し。
一見すると、非科学的にも思えるこの話。果たしてどこまで本当なのでしょうか?
また、なぜそんな噂が広まり、多くの家庭に不安を与えているのでしょうか?
この記事では、この噂の背景にある小学校受験のリアルと、「本当であるとすればどこに注意すべきか」を丁寧に解説していきます。
噂の発端:「思い出に残っていること」が問われる場面があるから
小学校受験では、面接や絵画制作の中で「最近楽しかったこと」「思い出に残っている出来事」を尋ねられることがあります。
ここで多いのが、
– 「ディズニーランドに行ったことが楽しかった」
– 「USJでジェットコースターに乗ったのが思い出」
といった回答。
これに対して一部の保護者や講師が、「そう答えた子は落ちやすいらしい」という話をすることがあります。
実際、これは“その子が落ちたこと”と“テーマパークの話をしたこと”を安易に結びつけてしまったケースが多く、必ずしも因果関係があるとは限りません。
なぜ「テーマパーク」がNGとされがちなのか
1. 学びや思考が浅く見えることがある
面接官が求めているのは、「どこに行ったか」ではなく、「そこで何を感じ、どう成長したか」という視点です。
「楽しかった」「面白かった」で終わってしまうと、印象として“思考が浅い”と映ることがあります。
たとえば、
– 「長い列に並ぶ中で、周りの人と譲り合ったことが印象的だった」
– 「初めて地図を読んで、家族を案内したのが嬉しかった」
こうした視点で話せれば、テーマパークの体験でも十分に評価されます。
つまり、「テーマパークがNG」なのではなく、“語り方”に深みがないとマイナスになる可能性があるというのが実態です。
2. 時期的な問題:直前期に“遊び”の印象を与えるリスク
年長の秋、受験直前の時期にテーマパークに行っていたという話は、面接官に「今がどんな時期かわかってる?」と思わせてしまうリスクがあります。
もちろん、リフレッシュは大切ですが、直前期に“豪遊しているような印象”を与えると、家庭の受験に対する本気度を疑われる場合があるという意見もあります。
3. 願書との整合性が問われるケースも
たとえば願書に「家庭では自然体験を重視しています」と書いておきながら、面接で「ディズニーに行ったのが一番楽しかった」と答えると、「あれ?」という矛盾を感じさせることもあります。
言動の一貫性は、願書・面接を通して見られているため、家庭の価値観と子どもの発言がズレないように気をつけましょう。
それでもテーマパークに行ってもいい?行くなら気をつけたい3つのこと
1. 行った経験を「学び」として整理しておく
ただ楽しかった、で終わらせず、
– なにを見たか
– どう感じたか
– その後、何に気づいたか
を家庭で話し合いましょう。
子どもが「おもちゃ売り場で欲しいものをがまんした」「迷子になりそうだったから、自分で地図を見て行動した」など、自発的に考えたことや成長のエピソードが語れるようにしておくと安心です。
2. 面接時期や模試前後には控える
どうしても行くなら、受験直前の9〜10月ではなく、春〜夏の早い時期に。
そして模試の直前・直後は避け、スケジュールに余裕のある週末に設定するのがベターです。
「今はそういう時期だよね」という、親としての意識が大切です。
3. 面接で話す内容を“家庭で一緒に整えておく”
テーマパークがいけないのではなく、「どう語るか」がすべてです。
たとえば…
「ディズニーランドで、妹がベビーカーを嫌がったので、お母さんが困っていました。だから、自分から手をつないで歩いてもらえるように声をかけたら、うまくいって嬉しかったです。」
というように、子どもなりの気づきや行動が見えるエピソードなら、十分に“思い出に残っていること”として通用します。
まとめ・結論
「年長でテーマパークに行くと落ちる」というのは、誤解を含んだ言い回しですが、部分的に「誤解されやすい要素」があるのは確かです。
しかし、問題は「どこに行ったか」ではなく、
– そこで何を感じたか
– どう行動したか
– どんなふうに成長に結びつけたか
という、“語り方”と“家庭の姿勢”にあります。
大切なのは、一貫性のある家庭の価値観と、それを体現する子どもの経験です。
テーマパークでさえ、うまく使えば立派な教育体験になる。
それを信じて、受験に臨んでいきましょう。