小学校受験における「学校説明会」は、単なる情報収集の場ではありません。
先生に直接会い、学校の本質に触れられる、極めて貴重な機会です。
「学校の教育方針はなんですか?」「IT学習や英語教育には積極的ですか?」といった情報は、実はパンフレットやウェブサイトを見ればわかることが多く、説明会の場でわざわざ聞くにはもったいない内容です。
学校説明会でおすすめしたいのは“その学校が自分たちの家庭に合っているかどうか”を見極めるための質問をすること。
この記事では、いくつかの価値観や教育方針を例にあげ、それらに対応するおすすめ質問例を紹介します。
なぜ「価値観に合った質問」が重要なのか
小学校受験は、合格がゴールではありません。
6年間という長い時間を過ごす場所として、本当にその学校で良いのかを見極める視点が不可欠です。だからこそ、「この学校の教育が、うちの子の育ち方に合っているのか?」を見抜くことが、最も大切な目的になります。
そしてそれは、表面的な情報ではなく、教育理念や先生方の姿勢から感じ取るものです。
質問を通して、学校の「空気感」や「考え方」を深く知ることができます。
家庭の価値観別:おすすめの質問とその理由
以下に、よくある家庭の価値観に基づいた質問例と、なぜその質問が効果的かを解説します。
1. 「自主性を大切に育てたい」という家庭の場合
質問例:
「授業や日常生活の中で、子どもが自分の考えを表現したり、自主的に行動する場面にはどのような機会がありますか?」
なぜこの質問がよいか:
この質問により、学校が“指示に従う”ことを重視しているのか、“自分で考える力”を育てているのかが明確になります。教師の答え方に注目することで、自由な発言を歓迎する空気があるかどうかも感じ取れます。
2. 「人との関わりを通じて育つ力を大事にしたい」場合
質問例:
「異学年との交流や、友達との関係づくりを学校としてどう支援されていますか?」
なぜこの質問がよいか:
子どもにとって“社会性”は非常に重要な育ちの要素です。縦割り活動やグループ学習をどのように設計しているかを聞くことで、学校が人間関係の学びをどのように位置づけているかがわかります。
3. 「自然体験や実体験を通して学ばせたい」家庭
質問例:
「校外学習や自然体験の機会はどのようなものがありますか? また、それをどのように授業と結びつけていますか?」
なぜこの質問がよいか:
単に“遠足があります”という答えで終わらせず、それがどのような学びにつながっているかを聞くことで、体験を“教育的に設計している”かどうかが見えてきます。
4. 「家庭と学校の連携を大事にしている」家庭
質問例:
「保護者との関わり方で、特に大切にされていることは何でしょうか?」
なぜこの質問がよいか:
学校によっては“任せてください”というスタンスもあれば、“保護者も一緒に育てましょう”という考えもあります。この質問で、親としての関わり方の期待値や、連携のしやすさが見えてきます。
5. 「のびのびとした環境で育てたい」家庭
質問例:
「子どもがのびのびと過ごすために、意識している環境づくりや教員の関わり方について教えてください」
なぜこの質問がよいか:
“自由”と“放任”は違います。この質問では、のびのびとした教育観が、具体的にどのように実現されているか、先生がどんな姿勢で子どもに接しているかを知ることができます。
質問する際のポイントとマナー
質問は、“ただ情報を引き出すため”ではなく、「あなたの教育に関心があります」という姿勢を示すものでもあります。
そのためにも、
- 「ホームページでは〇〇とありましたが、具体的にはどのような…」と情報の前提を押さえて聞く
- 丁寧な言葉づかいで、意図を明確にする
- 一方的に価値観を押しつけるような聞き方は避ける
これらを意識するだけで、先生の受け取り方も大きく変わります。
まとめ・結論
学校説明会は、単なる「情報収集」の場ではなく、“この学校で6年間育っていけるか”を見極める重要な機会です。
表面的な質問ではなく、家庭の価値観に基づいた深い質問を投げかけることで、学校との相性を正確に見極めることができます。
その対話から得られる「肌感覚」が、学校選びにおいて最も信頼できる判断材料となりますし、願書作成などにも役立つことでしょう。
ちなみに、とある大手小学校受験教室の先生に「合同説明会のおすすめの参加の仕方」を聞いたところ、
共通の質問を必ず考えておいてください
とアドバイスいただきました。
共通質問を考えておくべき理由と質問例については以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。