小学校受験の準備を始めると、必ず直面するのが「どの教室に通うか」、そして「教室を掛け持ちすべきかどうか」という悩みです。
大手教室にしぼるべきか。
体操や絵画だけ別の教室で学ぶべきか。
個人の先生のもとで手厚く見てもらうべきか。
それぞれに一長一短があり、家庭の方針や子どもの特性に合わせた選択が求められます。
本記事では、以下の4つのパターンに分けて、それぞれのメリット・デメリット、実際の体験談、どんな家庭におすすめかを詳しく解説します。
1. 大手教室1校にしぼる場合
大手教室に一本化するという選択は、「情報の豊富さ」「カリキュラムの網羅性」「試験の傾向に強い」といった強みがあります。
特に首都圏や関西の難関校では、学校ごとの出題傾向や面接対応に特化した模試や講座が充実しており、「志望校別対策が手厚い」のも魅力です。
加えて、大手ならではのデータ分析力も信頼できます。模試の偏差値推移や順位の把握ができ、親にとっても現状把握の参考になります。
一方で、デメリットもあります。
個々の子どもの特性に寄り添いきれないという声はよく聞かれます。先生方の目が行き届かない場面もあるため、「伸び悩んでも気づかれにくい」と感じることも。
また、周囲の子どもとの比較が避けられない環境に、プレッシャーを感じやすい子には不向きという側面もあります。
こんな声が聞かれます。
「うちは大手のカリキュラムに信頼を置いて、一貫して通いました。模試の結果や合格判定が励みになり、家庭でのモチベーション維持に役立ちました。ただ、息子が少し繊細な性格だったので、クラス内の競争に疲れてしまい、後半は気持ちのケアに苦労しました。」
こんな家庭におすすめ:
- 情報をしっかり収集したい
- 教材や模試など「整った環境」で学ばせたい
- 自宅学習との併用で補える家庭
- 子どもが集団でも物おじしない性格
2. 大手を複数掛け持ち(部分受講を含む)
最近では、大手教室の絵画や体操、巧緻性のみ別の教室で学ぶといった“部分受講”をする家庭も増えています。
たとえば、普段はA教室で通学しながら、絵画はB教室、体操はC教室の特化クラスに通うという形です。
このスタイルの最大の利点は、「強化したい分野を補うことができる」という点です。教室ごとに得意分野が異なるため、子どもの苦手や志望校の特徴に合わせた対策が可能になります。
一方で、スケジュール管理が煩雑になること、各教室での指導方針が異なることによって、「学習の軸がブレる」というリスクがあります。
また、家庭の送迎・準備の負担も無視できません。保護者が受験に強く関わる意志と体力を持っていなければ、継続が難しい面もあります。
以下は大手掛け持ちの方の経験談です。
「娘は体操が大の苦手だったので、大手の通常クラスに加えて、別の体操教室にも通わせました。最初は移動やスケジュール調整が大変でしたが、苦手分野を克服できたことで自信につながり、面接でも堂々と受け答えできるようになりました。」
こんな家庭におすすめ:
- 教室の強み・弱みを比較して対策したい
- 苦手分野を重点的に補いたい
- 保護者が学習の全体像を把握して指示できる
- 志望校が明確で、必要な対策分野がはっきりしている
3. 大手+個人教室の併用
大手で情報収集と模試対策を行いながら、個人教室でより個別に寄り添った指導を受けるスタイルです。
この方法は、「網羅的な受験準備」と「子どもの特性への対応」を両立させるのにとても効果的です。
大手ではどうしてもカリキュラムが決まっており、柔軟な対応は難しいことがあります。しかし個人教室では、子どもの性格、発達段階、家庭の価値観に合わせた丁寧な指導が期待できます。
ただし、費用面の負担が大きくなる可能性があり、また教室間で方針がずれる場合、混乱を招くこともあります。
親が「どちらの教室のやり方に従うか」を明確に線引きし、学習の方向性を整理する必要があります。
「うちは大手で情報や模試を活用しつつ、個人の先生に週1回通っていました。個人教室の先生は願書の添削や面接練習も手厚く、本番直前まで精神面も支えていただけたのが大きかったです。」
こんな家庭におすすめ:
- 情報の網羅と個別の手厚さ、両方がほしい
- 面接・願書の丁寧なサポートを希望している
- 教育方針を明確に持ち、それに合った個人教室を探せる
- 経済的・時間的にある程度の余裕がある
小学校受験の必読書『小学校受験は戦略が9割』では、先輩家庭を通じて個人教室への紹介をもらえるとよい、と書かれており、大手校の比較も行われていることから、大手+個人のパターンを念頭に置いている可能性があります。
4. 個人教室のみ
あえて大手に通わず、信頼できる個人教室一本で受験対策を進めるという家庭もあります。
この選択は、「教育方針が明確で、それに合った先生とじっくり向き合いたい」という家庭に向いています。
少人数またはマンツーマンの環境で、子ども一人ひとりにあったアプローチが受けられる点が最大の魅力。願書や面接も、まるで家庭教師のような細やかさで見てくれる先生もいます。
ただし、模試や志望校別対策の情報収集は自分で行う必要があります。
教室によっては、データが十分でない場合もありますし、合格実績の規模も限られることがあります。そのため、信頼できる先生と出会えるかが鍵です。
こう話す経験者もいます。
「大手の雰囲気が合わず、個人の先生に最初からお願いしました。最初は不安もありましたが、子どもの性格を深く理解してもらい、無理なく受験対策を進められました。模試は他塾の公開テストだけを受けて補いました。」
こんな家庭におすすめ:
- 子どもに合わせたペースで学ばせたい
- 教育方針を理解してくれる先生と長く付き合いたい
- 競争よりも信頼関係を重視したい
- 情報収集を自力でできる保護者
まとめ・結論
小学校受験において、「どんな教室をどう組み合わせるか」は、子どもの性格や家庭の価値観、そして保護者の関わり方によって答えが異なります。
重要なのは、「有名な教室だから」ではなく、
“我が家の子にとって最適な環境かどうか”を常に基準にすることです。
どの選択肢にもメリットと注意点があり、それぞれの良さを生かしながら、家庭ごとに最適解を見つけていきましょう。