小学校受験を控えると、教室への通学や模試対策に意識が向きがちですが、本当に大切なのは家庭での学びです。筆者が大手受験教室の講師から聞いたのは、「受験対策は家庭が8割、教室は確認の場」という言葉。教室だけに頼った受験準備では不十分だということです。
今回は、「なぜ家庭学習が重要なのか」を2つの理由から解説しつつ、家庭での取り組みを大切にするわが家の体験談を交えて、具体的な実践方法をご紹介します。
この記事は以下の書籍を参考にしていますので、合わせてご覧ください。
教室だけでは不十分な理由①:記憶の定着には家庭での復習が必須
幼児の学びにおいて最も大切なのは、「繰り返し」です。教室で新しい内容を学んでも、家庭で復習しなければ知識はすぐに薄れてしまいます。
特に小学校受験でよく出題される、
- ペーパー課題(図形、数量、言語、記憶など)
- 行動観察での指示理解
- 絵画や工作
- 運動や模倣体操
といった分野では、「理解したつもり」を家庭で確認し、「本当にできているか」を繰り返しながら定着させる必要があります。
また、教室の宿題を「ただやらせる」のではなく、「なぜこの答えにしたの?」と親子で会話しながら取り組むことで、理解の深まりが違ってきます。
教室だけでは不十分な理由②:日常生活の学びは家庭でしか育たない
もうひとつ見落とせないのが、日常生活の中にこそ小学校受験に必要な力が詰まっているということです。
たとえば、以下のようなことはすべて家庭での積み重ねが問われます。
- 挨拶や返事、お礼の仕方
- 食事中の所作や姿勢
- 絵本の読み聞かせやお手伝いを通じた思考力と生活力
- 季節の行事や日本文化への理解
これらは、教室で一度教えただけでは身につきません。日々の積み重ねこそが、「当たり前のことを自然にできる子ども」をつくるのです。
さらに、行動観察や面接では「ご家庭でどのように過ごされていますか?」といった質問もよく出ます。つまり、家庭での学び方や教育方針そのものが、受験の評価対象になっているのです。
【事例紹介】家庭学習を楽しむ我が家のケース
我が家でははじめ、一度解いた問題を復習はほとんどしていませんでした。
しかし、模試の結果を受けて足りない部分がはっきりとしたため、家庭での取り組みを大きく見直しました。
まず変えたのは“毎日ペーパーを3枚だけでもやる”という習慣です。時間は朝食前の15分。夜ご飯を待っている間にパパと進められるときも進めます。“やりっぱなしにしない”ことを意識しました。
また、生活面でも変化がありました。
お手伝いできる場面を増やし、“今日はサラダのきゅうりを切る人”のように、役割を渡すようにしました。季節の行事も大事にして、2月の節分ではおうちでも豆まきをし、3月にはお花見にも行きました。ペーパーでも季節問題に強くなったように思います。
家庭学習を無理なく続けるコツ
「忙しくて、家ではなかなかできない…」という方もいらっしゃるかもしれません。大切なのは、毎日少しでも“親子で向き合う学びの時間”を持つことです。
- 「朝ごはんの前に1問だけペーパー」
- 「お風呂の時間に今日覚えた言葉をおさらい」
- 「絵本の中に出てきた季節や行事を話題にする」
といったちょっとした時間を“学びに変える”意識が、子どもにとっては最も安心感のある学習環境となります。
また、完璧を目指しすぎず「今日はできなかったね、じゃあ明日は一緒にがんばろう」と、温かい声かけを忘れずに。親の姿勢が、子どもの意欲を育てます。
まとめ・結論
小学校受験の本質は、教室での学びを家庭でどれだけ支えられるかにあります。記憶の定着や日常の所作、季節感といった重要な力は、すべて家庭でこそ育まれるものです。
「受験は家庭力」と言われる理由は、そこにあります。無理なく、でも毎日、少しずつ。家庭での学びが、子どもの可能性を大きく広げてくれるのです。
参考文献とおすすめ教材
本記事は、小学校受験の必読書『小学校受験は戦略が9割』を参考にしました。
こちらの書籍では家庭学習のための教材として、こぐま会の『ひとりでとっくん』シリーズをあげています。子どもが自分で解ける教材を選び、親が隣で見守りながら進めると、自然な振り返りができて効果的です。