小学校受験において「指示を聞き取り、正確に行動できるか」は大きな評価ポイントとなります。
しかし、普段から特別な練習をしない限り、この力は自然に育つものではありません。
今回は、ある大手小学校受験塾の先生から伺った「日常のお手伝いを通じて指示行動を鍛える方法」について、具体例を交えて深く掘り下げます。
指示行動はなぜ大切なのか
小学校受験の考査では、子どもたちが集団で行動したり、試験官の指示に従って作業を進めたりする場面が数多くあります。このとき、単に行動するだけでなく、正確に聞き取り、順序立てて実行できるかが問われます。
たとえば「赤い積み木を三つ取り、青い箱に入れてください」という指示を出された場合、聞き漏らしたり、途中で混乱したりする子は評価が下がることもあります。聞く力、理解する力、行動に移す力、この三つをバランスよく育てることが合格への鍵となるのです。
では、これらの力はどのようにして日常生活で育てられるのでしょうか。
日常のお手伝いが指示行動を育てる理由
指示行動の力は、特別な訓練ではなく、日々の生活の中で自然に鍛えることが可能です。特に効果的なのが、親子の会話を通じた「お手伝い」です。
ここでは大手小学校受験塾の先生から伺った方法を紹介します。
たとえば、大手買い物に行くときに、
「今日の夕飯はカレーだから、ニンジンとジャガイモとタマネギをカゴに入れてね」
とお願いする場面。
この指示には、
- 必要な情報を聞き取る
- 頭の中で整理する
- 実際に行動する
という三つのステップが自然に組み込まれています。
また、部屋の片付けをするときに、
「この絵本は本棚の2段目に戻して」
「このブロックはバラバラにして、元の箱に戻してね」
といった細かい指示を出すことで、具体的な手順を理解して動く力が養われます。
日常の中に「小さな指示行動」をたくさん組み込むことが、受験本番での対応力を高める近道となるのです。
どうやって指示行動を鍛えるか
では、日々の中でどのように指示行動を取り入れていけばよいのでしょうか。
まず大切なのは、具体的かつシンプルな指示を出すことです。
たとえば「片付けてね」では漠然としすぎています。「絵本を本棚の2段目にしまってね」というように、何を、どうするかを明確に伝えることがポイントです。
次に、一度に与える指示は少しずつ増やしていくことです。
最初は単一指示(例:「ニンジンを取ってきてね」)から始め、慣れてきたら複数指示(例:「ニンジンとタマネギを取って、カゴに入れてね」)へと段階を踏んでいきます。
そしてもうひとつ大切なのが、できたときには具体的にほめること。
「ニンジンだけじゃなくタマネギもちゃんと持ってきたね、すごいね」と、どこが良かったかを具体的に伝えると、子どもは達成感を覚え、さらに意欲的に取り組むようになります。
事例紹介:我が家の取り組み
我が家でも、パパが主導して日々の指示行動を取り入れています。
たとえば部屋のお片付けの際には、ただ「片付けなさい」と言うのではなく、
「この積み木はバラバラにして、黄色の箱に戻そうね」
「絵本は背表紙を揃えて、2段目に並べようね」
といった具体的で順序を意識させる指示を出しています。
最初は時間がかかりましたが、続けるうちに、指示を聞き取る力、行動する力が目に見えて育ってきました。今では保育園の先生からも「指示をよく聞いて動けますね」と褒めていただくようになりました。
地道な積み重ねが、子どもに大きな自信を育ててくれることを、日々実感しています。
まとめ・結論
小学校受験に向けた指示行動の育成は、特別な教材やトレーニングに頼る必要はありません。日常生活の中で、具体的な指示を出し、子どもがそれに従って動く経験を積み重ねることが一番の近道です。
「聞いて、理解して、行動する」というプロセスを意識しながら、日々の声かけを工夫していきましょう。小さな成功体験の積み重ねが、受験本番での自信と実力につながります。