お受験界で「最難関」と言われる慶應義塾幼稚舎。
福澤諭吉の理念を受け継ぐその独自の教育方針と入試の特徴に、多くの家庭が魅了され、挑戦します。
本記事では、幼稚舎の基本情報から入試対策、願書作成のコツ、さらには「コネ」問題まで、初めて受験を考える方にも分かりやすく解説します。
慶應義塾幼稚舎の概要
慶應義塾幼稚舎(ホームページはこちら)は、福澤諭吉の「独立自尊」の理念を基盤に、子どもたちの主体性や協調性、創造性を育むことを重視する名門小学校です。
その教育方針や入試内容は独特であり、受験を考える保護者にとっては詳細な理解と準備が求められます。
幼稚舎の教育方針
幼稚舎の教育は、以下の特徴を持っています(幼稚舎の教育方針|慶應義塾幼稚舎)。
- 6年間担任持ち上がり制:1人の担任が6年間同じクラスを受け持ち、児童の成長を長期的に見守ります。これにより、教師と生徒の深い信頼関係が築かれます。
- 児童の自立を重視した自由な教育:担任には教育内容や方法に自由度が与えられ、児童の自立を促す教育が行われます。
- 少人数教育と多人数教育の併用:1クラス36名(男子24名・女子12名)で構成され、授業によってはクラスを分割して少人数教育を行います。一方で、運動会などの行事ではクラス対抗で行い、社会性を育みます。
これらの教育方針は、子どもたちの個性を尊重し、主体的な学びを促す環境を提供しています。
入試内容と対策
幼稚舎の入試では、以下の項目が評価されます。
- 運動テスト:指示に従い、ダッシュやスキップ、けんけん、ゴム跳び、ボール投げ、縄跳びなどの運動を行います。これにより、指示理解力や身体能力が評価されます。「サーキット」と呼ばれる障害物走が課されることで有名です。
- 行動観察テスト:集団遊びや自由遊びを通じて、協調性やコミュニケーション能力が観察されます。
- 絵画・制作テスト:与えられたテーマに基づき、創造力や表現力が試されます。自分の絵で何を表現したかをプレゼンテーションする能力も求められます。
これらのテストは、子どもの多面的な能力を評価するために設計されています。
願書作成のポイント
幼稚舎の入試では親の面接が行われません(入学試験Q&A|慶應義塾幼稚舎)。
親や家庭の考え方を学校に知ってもらうには、願書が重要な役割を果たします。
特に、福澤諭吉の『福翁自伝』を読んだ上での感想や、家庭の教育方針を記入する欄があります。
これらの項目を通じて、家庭の価値観や教育方針が評価されます。願書作成においては、以下の点に注意が必要です。
- 家庭の教育方針の明確化:家庭で大切にしている価値観や教育方針を具体的に記述します。
- 子どもの特性や長所の具体的なエピソード:子どもの性格や特質を示す具体的なエピソードを盛り込みます。
- 幼稚舎の教育方針との共感点:幼稚舎の教育方針に共感する点を具体的に述べ、志望理由として記載します。
これらを踏まえ、願書を通じて家庭の教育観や子どもの特性を伝えることが重要です。
家庭での取り組み
日常生活において、子どもの自主性や協調性を育むことが大切です。また、運動や創造的な活動を通じて、身体能力や発想力を高めることも効果的です。
具体的には、以下の取り組みが考えられます。
- 自主性の尊重:子どもが自分で考え、行動する機会を増やす。
- 協調性の育成:友達や家族と協力して行う活動を取り入れる。
- 創造力の促進:絵画や工作などの創作活動を通じて、表現力を養う。
- 身体能力の向上:日常的に運動する習慣をつけ、体力を養う。
これらの取り組みを通じて、子どもの多面的な成長をサポートすることが重要です。
いわゆる「コネ」は必須なのか?
慶應義塾幼稚舎をはじめとする名門私立では、必ずと言っていいほど「コネ」のうわさが付きまといます。
学校側から「コネを重視します」とアナウンスされるはずはなく、公式のQ&Aにも以下のような回答があります(入学試験Q&A|慶應義塾幼稚舎)。
Q 紹介状や推薦状の必要はありますか。
A 必要ありません。受け取っていません。
実際に、学校と繋がりがない方でも合格しているご家庭はあります。
しかしながら、「コネ」の影響が全くないと考えるのも危険です。
というのも、学校の立場からは、よく知ったご家庭や既に関係のあるご家庭の方が、いざというときにコミュニケーションをとりやすいため、「同じ評価の子どもだったら、より身の上がわかっている方を選ぶ」という判断をする可能性があるからです。
「コネ」は必須ではありませんし、いわゆる「フリーで」合格した方も大勢いらっしゃる現実には勇気をもらいたいですが、完全に平等な評価であると考えるのも危険でしょう。
まとめ
慶應義塾幼稚舎の受験では、子どもの主体性や協調性、創造性が重視されます。
家庭での教育方針や日常の取り組みが合否に影響するため、日頃から子どもの自主性を尊重し、多様な経験を提供することが重要です。
また、願書作成においては、家庭の教育方針や子どもの特性を具体的に伝えることが求められます。これらを踏まえ、しっかりと準備を進めることで、幼稚舎受験に臨むことができます。